なぜ今「真性乱数発生器」がサイバーセキュリティのキーデバイスと言えるのか
最終更新日:2026.01.15乱数
サイバー攻撃の高度化とデジタル化の加速により、暗号技術の「前提条件」そのものが見直されつつあります。
その中で、近年あらためて注目を集めているのが真性乱数発生器(TRNG:True Random Number Generator)です。
これまで暗号技術の裏方として扱われがちだった乱数生成技術が、なぜ今、サイバーセキュリティの「キーデバイス」と呼ばれるようになっているのでしょうか。
暗号の強度は「アルゴリズム」ではなく「乱数の質」で決まる
暗号技術というと、RSAやECCといったアルゴリズムの強さに目が向きがちです。
しかし実際には、暗号鍵や初期化ベクトルを生成する「乱数の質」が、セキュリティの根幹を支えています。
疑似乱数(PRNG)は計算式に従って生成されるため、理論上は再現性を持っています。一方、真性乱数発生器(TRNG)は物理現象から得られるエントロピーを利用し、予測不能性を担保しています。
これら2つの違いは、攻撃者に対抗するセキュリティの強固さとして大きな差があります。
どれほど高度な暗号アルゴリズムを使っていても、乱数が予測可能であれば、鍵の推測やリバースエンジニアリングの余地が生まれてしまうのです。
サイバー攻撃リスクから見る「乱数品質」という盲点
高度化するサイバー攻撃の多くは、暗号アルゴリズムそのものを正面から破るのではありません。
実際には、乱数生成の弱点や初期化時の予測可能性といった「設計の隙」が狙われています。
ここでは、乱数品質がセキュリティリスクに直結した代表的な攻撃パターンを見ていきます。
ケース:乱数の偏りを突いた暗号鍵推測攻撃
ネットワーク機器でデバイス起動時に生成される暗号鍵が、限られたエントロピー源や、起動直後の疑似乱数などに依存している場合、攻撃者はこの特性を利用し、実際に使われていた暗号鍵の候補を絞り込むことができてしまいます。
結果として、本来は天文学的な計算量が必要な鍵探索が、そう困難でない時間内で可能となるのです。
実際に、RSA鍵の公開鍵から秘密鍵を特定する攻撃手法も確認されています。
KeyFactor社の研究報告によると、インターネットから7,500万件のRSA証明書を収集・分析した結果、172個中1個の鍵が他の鍵と因数を共有していることが分かりました。
この種の攻撃は、暗号方式自体ではなく、「鍵がどのように生成されたか」に起因しています。
もし量子真性乱数発生器のような、高エントロピーかつ予測不能な乱数源が用いられていれば、鍵生成の偏りそのものが発生せず、攻撃成立の前提条件を大きく崩すことができたと考えられます。
「今はまだ大丈夫」ではもう成り立たない!
「HNDL攻撃」がもたらす破滅的規模のリスク
近年のサイバー攻撃は、単なる金銭目的を超え、国家レベルの諜報活動や長期的な情報収集へと進化しています。
特に問題視されているのが、「Harvest Now, Decrypt Later(今は収集し、将来解読する)」という攻撃手法です。
これは、現時点では解読できない暗号データを大量に蓄積し、将来的に量子コンピュータなどの計算能力を使って解読することを前提とした攻撃です。
つまり、「まだ量子コンピュータの登場は先の話だから・・・」ではもう済まないということです。
このような脅威に対しては、将来にわたって予測不可能で統計的にも偏りのない、高品質な乱数源が不可欠になります。
真性乱数発生器は、長期的なデータ保護という視点でも、従来技術では代替できない役割を担っています。
量子コンピューティング時代における「耐量子暗号」と真性乱数発生器
量子コンピュータの実用化が現実味を帯びる中、従来の公開鍵暗号が将来的に破られる可能性は、もはや仮説ではありません。
そのため各国・各機関では、耐量子暗号(Post-Quantum Cryptography)の標準化が進められています。
耐量子暗号の多くは、より複雑な鍵構造とより大量のエントロピーを必要とします。
ここでも重要になるのが、「乱数の品質」です。
真性乱数発生器は、耐量子鍵生成や量子鍵配布(QKD)など、次世代暗号技術の基盤として不可欠な存在になりつつあります。
IoT・エッジデバイスの爆発的増加がもたらす新たな課題
もう一つ見逃せないのが、IoTおよびエッジコンピューティングの普及です。
数十億規模のデバイスがネットワークに接続される時代において、一つひとつのデバイスが限られたリソースの中で、自律的に安全性を確保することが求められています。
しかし、コストや設計上の制約から、乱数生成の品質が軽視されたIoT機器も少なくありません。
その結果、暗号鍵の推測やなりすましといった攻撃の温床になるケースが指摘されています。
真性乱数発生器をデバイスレベルで組み込むことは、「ネットワーク全体の安全性を底上げする」ための効果的な対策と言えます。
真性乱数発生器は「目立たないが外せない」セキュリティインフラへ
真性乱数発生器は、AIのような派手な技術ではありません。
しかし、
- 暗号鍵の信頼性
- 認証システムの安全性
- 耐量子時代への備え
- IoT・エッジ環境の防御力
これらすべての土台を支える存在です。
HNDL攻撃によりサイバーセキュリティが「後付け」では成立しなくなった現在、真性乱数発生器は単なる部品ではなく、将来を含めたセキュリティ設計思想そのものを体現するキーデバイスになりつつあります。
今後、セキュリティを競争力に変えていく企業にとって、「どの暗号アルゴリズムを使うか」以上に、「どの乱数源を使うか」が問われる時代が来ていると言えるでしょう。
量子技術による真性乱数発生器ご紹介
量子乱数発生器は、量子技術によって高速かつ信頼性のあるエントロピーを生成します。
高速かつバリエーション豊富で使いやすい、Qusideの量子乱数発生器がお勧めです。

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