電波暗室とは
最終更新日:2024.06.245G
電波暗室とは外部からの電波を遮断し、内部では電波を吸収して反射しない構造の実験設備です。
電子機器などから発生する電波の測定に使用されます。
電波暗室の用途
電波暗室は、次のような試験・開発に活用されています。
通信機器・アンテナのOTA試験
OTA試験は、空間に電波を飛ばして測定する試験です。通信機器やアンテナの通信性能を評価できます。
近年広がりつつある5G通信において、このOTA試験は重要な役割を果たします。
LTE(4G回線)の通信性能を評価する際、アンテナを有線で測定機器に接続してテストする方法(パッシブ測定)が一般的でした。
しかし5Gではミリ波への対応やアンテナ数の増加に伴い、従来の有線接続による試験が困難となりました。
そこで、無線で行うOTA試験が必須となりました。
5G通信の他にも、Wi-FiやBluetoothなどの無線で使用する機器の性能評価に適しています。
通常の空間には様々な電波が飛んでいるため、対象の電波だけを測定するために電波暗室を使用します。
当社では無響チャンバー内での試験から、マルチパスを想定した現実環境を再現するリバブレーションチャンバーまでご用意しています。
RCS測定(レーダークロスセクション)
RCS測定は、レーダーの性能を測定する際に行います。
レーダーの電波が物や人などの対象に反射した際に、その反射量を定量化して測定します。
例えば自動車の衝突防止機能に使用されるレーダーの開発や、航空機、船舶探知能力の向上における研究などにRCS測定が用いられます。
性能を正確に測定するためには、レーダーから発生する電波だけを測定する必要があります。
そのため外部の電波干渉を遮断し、内部では電波を反射しない電波暗室での測定が適しています。
RFIDの研究開発
RFIDは、RFIDタグに情報を記録し、無線通信によって読み取りや書き換えを行うシステムです。
例えば自動車業界では、製品の在庫管理や製造の工程管理にRFIDが導入されています。最近ではRFIDを利用した自動運転の研究も行われています。
また船舶業界では、RFIDを用いた船舶の衝突回避システムの開発も行われています。
RFIDは電波を利用して通信します。そのため、外部からの電波干渉を受けない形で正確な性能を把握するためには電波暗室でテストする必要があります。
EMC試験
ほかにも、EMC試験用途もあります。電気・電子機器における電波の影響を調査する試験です。
電子機器から発生する電波が他の機器の動作に影響しないか、また他の機器から発生した電波の影響を受けて誤作動を起こさないか確認できます。
電波暗室と電波暗箱、シールドボックスの違い
電波暗室・電波暗箱とシールドボックスの違いは、電波吸収体の有無です。
シールドボックスには電波を吸収するための電波吸収体がありません。
シールドボックスの内側に電波吸収体を貼ると電波暗室・電波暗箱となります。
電波吸収体が貼られた空間の内、大型のものが電波暗室、小型のものが電波暗箱です。
電波暗室・電波暗箱と測定システム
電波の計測は、電波暗室・電波暗箱だけではできません。
実行したい試験に合わせた測定システムと一体化して、初めて試験が可能となります。
また、電波暗室・暗箱内で行う試験には規格があります。
複雑な規格テストを容易に、そして高い信頼性のもとで実行することが鍵になります。
以下に、おすすめの電波暗室・電波暗箱と測定システムをご紹介します。
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