EMVCoとは？L1、L2、L3テストの全体像解説

最終更新日：2024.09.30ブランドテスト

EMVCoとは

EMVCoは、世界中で使用されるクレジットカード、デビットカード、その他カード決済の国際的な技術の標準を策定し、管理する団体です。
支払い時に接続する決済ネットワークの安全性と、相互運用性を向上させることを目的としています。

当記事では、EMVCoが提供する決済ネットワークが担う重要な点と、それを保証するための3つのテストについて解説します。

EMVCoが規定する決済ネットワークの重要性

EMVCoは、カード決済で使用する端末やネットワークの相互運用性や高いセキュリティ性を確保するため、「EMV規格」という標準規格を策定しています。

EMVCoによる共通規格の役割

EMVCoが設定した「EMV規格」があることで、カード決済のセキュリティを高めることができます。

従来の磁気ストライプカードは複製が容易で、不正使用のリスクが高いものでした。
そこでEMVCoはICチップ搭載のカードを推奨し、より高い安全性を確保しています。
加えて使用する決済ネットワークをEMVCoが定めた規格に準拠させることで、カードの偽造や情報の盗難が難しくなりました。

また相互運用性が確保されるため、世界中のどこでカードを使っても・どの決済端末を使っても安心して支払いができます。
日本で作ったカードを海外で問題なく使えるのは、世界で共通した規格があるためです。
統一された仕組みにより、どの国でもカードを受け取るお店が、同じように安全な決済システムを使っているため、安心して決済を利用できます。

共通規格のブランドテストであるL3テストの策定

クレジットカードの決済端末はネットワークに接続する前に、各クレジットカードブランドが定めたテストを実施し、通過することを確認するテストが義務付けられています。
これをブランドテストと呼びます。

かつてのブランドテストは、それぞれのクレジットカードブランドが独自に設定した規格に基づいて行われていました。
しかし各々で規格が異なると、ブランド毎に技術や許容される基準値に差異が生じてしまい、決済ネットワークにおける信頼性の担保が難しくなります。

そこで、世界中の決済ネットワークを共通の規格で統一し、セキュリティの向上や相互運用性を高めているのがEMVCoであり、EMVCoが提供するブランドテストがLevel3（L3）テストです。

カード決済を安全に使用するため、そして相互運用性を確保するには、EMV規格に準拠しているか確かめる必要があります。
そこで、決済ネットワーク接続時にEMVCoで規定するテストを行う必要があります。

EMVCoで規定される3つのレベル

EMVCoで規定されるテストには、Level1、Level2、Level3という3つのレベルが存在します。

物理的な反応を確かめるLevel1テスト

Level1のテストでは、物理的、電気的な機能性を検証します。
具体的には、カードリーダーとカードが正しく通信できるかどうかを確認するものです。
カードと決済端末が正常に通信できるかを確認するため、ハードウェアに互換性があることを保証します。
このテストによって、カードを端末に挿入したり、非接触でかざしたりした際に正しく反応しているか確認します。

ソフトウェアの動作を確かめるLevel2テスト

Level2テストでは、端末のソフトウェアがEMVCoの仕様に準拠して、カードと正しくやり取りを行えるかを検証します。
ここでは主に、カードと端末がどのようにコミュニケーションを取るかを決めるソフトウェア（カーネル）が、正確な動作を行えることを保証します。
このテストによって、取引が安全かつスムーズに行われ、カードの認証や暗号化が正しく行われているかどうか確認できます。

決済処理の一連を確かめるLevel3テスト

Level3テスト（ブランドテスト）では、決済アプリケーションとシステム全体を統合して検証します。
ここでは、端末（POSレジ等）やカードが決済処理に関連するネットワークとどう連携しているか、さらにブランド固有の要件を満たしているかを評価します。
システム全体を統合してテストし、ネットワークを通じて支払いが正常に処理されることを確認する重要な部分です。
これにより、端末から決済ネットワーク、そしてカードの発行会社や金融機関との間で問題なく取引が完了することが保証されます。

EMVCo L3テストとは？